表現の端に滲む従来型の考え
「感想を発表させる」や「考えたことを紙に書いてもらう」といった表現が先生方の指導書などでよく見られます。教育に関わっている人でなくても、これまで一度はこういう表現を目にしたことがあるのではないでしょうか? 実は古いGEMSガイドでもこの表現を使っているぐらい、従来の教育においては慣用句的に使われてきました。
ただ、よーく見ているとこの表現に少し違和感をもちませんか? 言葉通りに取ると、子どもたちがしている発表やメモといった行為は彼らが自発的に行ったものではなく、大人がやらせたものだということになってしまいます。言うなればアクティブ・ラーニングに逆行する状態です。
表現の揚げ足をとっているだけと思われるかもしれませんが、こういった言葉やそれに付随する概念を見直していくことが、これからの教育には必要になってきます。「先生が教える」教育から、「子どもたちが学ぶ」教育へのパラダイムシフトが刻々と始まっています。
言葉に気を付けると意識が変わり始める
GEMSセンターでは、「〜させる」「〜してもらう」の代わりに、「(子どもたち自身が)〜する」、あるいは「(指導者が)~だと伝える」という表現を用いるようにしています。それは、課題の提示は大人がやったとしても、それを実行するかどうかの決定権は子どもの側にあると考えているからです。
言葉や表現には自分の意識が現れます。普段は奥底の方で眠っている思い込みや価値観が、自分の言葉の中に混じっていたりするものです。なかなか気づきにくい自分の内側に気づくヒントは、自分がアウトプットしているものをふりかえることから得られます。
主体は常に子どもたち。頭ではわかっているのですが、ついつい指示的になってしまうことってありますよね。そんなときは、まず自分が普段使っている表現をふりかえってみることから始めてはいかがでしょうか?
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。