【事業名】第11期 日本の環境を守る若武者育成塾 成果発表会
【実施期間】12月18日(日)
【実施地】アサヒグループ本社ビル
【主催】アサヒビール(株)、JEEF
文:加藤麦穂(学生スタッフ)
成果発表会は、高校生たちが8月から12月にかけて行った、それぞれ地域での活動を発表しあう場です。私も、彼らの成長を楽しみに成果発表会に臨みました。
事業の概要
全国7校・18名の高校生たちは、神奈川県を舞台とした3泊4日の環境研修を通じて、さまざまな視点で環境への取り組みについて学びました。そのうえで、それぞれの地域における環境課題を改善していくための活動プランを作成し、9月~12月にかけて自ら実践してきました。今日はその成果を発表する日です。
日本の環境を守る
高校生が『日本の環境を守る』ということについて話してくれた場面がありました。
「高校生としてできることは少ないが、私達は来年から色々な分野で大学に進学し、他県に出る人もいる。小さなことかもしれないが、そうして大学で出会った人たちと共にこの環境課題について考え、広め、またその人が… という風にこの問題を考えていきたい。」
高校生としての自分ができる事・できない事にしっかりと向き合い、その上で本気で自分にできる事を考えたからこそ出てきた言葉だと感じます。環境問題は、一部の人だけが頑張っても解決する問題ではありません。しかし、一人が頑張る事が決して無駄になる訳ではなく、それが確実に解決の一歩になります。
現在、若武者育成塾の卒塾生は260人です。一人ひとりはの力小さくても、胸を張って「日本の環境を守る」と言える活動になっていると実感することができました。
批判やぶつかり合いにも真摯に向き合う
成果発表後の高校生達の感想に、「別の考え方で物事を見られるようになってきた。」と書いてくれた生徒がいました。発表でも、夏合宿の時から一皮むけた生徒たちが地域の人・専門家の人など様々な人と出会い、自然の多様な生態を見てきたことを活き活きと話してくれました。
自然に多様性があると同じように、人間にも多様性があります。地域の人との交流の中で、環境課題の認知度の低さや環境活動に対する批判に向き合ってきた生徒もいました。仲間内でぶつかり合いがあった学校もありました。
それらに真摯に向き合ってきたことは、感想にあった「自分の意見を持てるようになった」「自分の意見を言えるようになった」「話し合いの大切さがわかった」「自分の負けず嫌いを知る事ができた」などの言葉から知る事ができます。
私は、大学で学ぶ中で、地域の数だけそこに根差した自然があり、その自然と共に生きた人の数だけ自然保護の方法があると思うようになりました。今回生徒たちが学んだ多様な視点というものは、自然を保護していく上で必要不可欠なものだと思います。
葛藤の中、自分で決断する
会場入りした時の緊張した顔から一変、発表を終えた高校生たちの表情は晴れやかでした。発表の中やその後の交流会では、「この活動を通して進路を決めることができた」と話してくれる高校生がいました。
自然保護を通して自分の地域に向き合い、大人たちに協力を仰ぎながら活動をすることは、高校生にとって簡単なことではありません。楽しい事だけでなく、自分との葛藤やプレッシャーもあったのではないかと思います。その上で決断した進路は、彼らにとって素晴らしいものになるのではないでしょうか。
私も同じこれからの日本を作る若い世代として、応援しつつ、負けないように頑張ろう、というパワーをもらった成果発表会でした。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。