機関誌「地球のこども」 Child of the earth

自然と共存する技と知恵を伝えるツーリズム(京都府 南丹市美山町) 2017.07.12

文:藤原 誉(田歌舎

私たちの美山町には、さまざまな団体、個人が、誰でも入り目指すべきエコツーリズムについて協議し合える場(※1)があります。

※1:美山エコツーリズム推進協議会ガイド部会

そこでは今、豊かな自然と共存する暮らしの中にある技、知恵こそが、私たちの伝えたいことであり守りたいことであること。また、その技と知恵のある営みを行う人の姿こそが、都市部やは外国からの訪問者にとって出会いたいシーンであり、魅力ある風景となりうるのだと語り合っています。そうして各団体が工夫を凝らし、素敵なエコツアーが各所、各団体で行われる先進的な地域になってきたと嬉しく感じています。

そんな美山町で田歌舎では「遊・食・住+自然エネルギー自給的暮らしが見えるお店」として、狩猟・採集・農業・建築を軸とした暮らしを実践しながら、さらにレストラン、宿泊施設も備え、多くのお客様に向けてさまざまな自然体験を提供しています。

田歌舎は全ての建物を自分たちで築き、山の水を引き、一年を通じて米その他穀物、野菜、肉、ほとんどの食材を自給自足します。トレッキングやカヌーなどのアウトドア体験以外には、そんな自給的な暮らしの技や知恵に触れる20種類以上にもなる山村体験プログラムを企画、提供しています。

林業体験~製材 杉の間伐を参加者自身がチェーンソーなどを用いて体験。その後、角材に製材する作業、あるいは薪を作る作業、火起こしなど、木を利活用するさまざまな術を体験できる。

林業体験~製材
杉の間伐を参加者自身がチェーンソーなどを用いて体験。その後、角材に製材する作業、あるいは薪を作る作業、火起こしなど、木を利活用するさまざまな術を体験できる。

狩猟体験~解体体験 猟犬を用いた巻き狩りに同行し、銃猟で捕獲した鹿を解体する。通年で30組近い参加者があり、参加層も学生から40代男女までさまざま。

狩猟体験~解体体験
猟犬を用いた巻き狩りに同行し、銃猟で捕獲した鹿を解体する。通年で30組近い参加者があり、参加層も学生から40代男女までさまざま。

今、都市部に住む子ども達や若者の多くは本物を渇望していると実感しています。テレビの画面越しでなく、柵の向こう側でもなく、自分の手で直に本物に触れる体験こそが衝動、興奮、動揺、畏怖、畏敬、そして感動といった様々な感情を引き起こします。多くの危険も伴う山村で生きる技を、体験を通して伝える事こそが次世代につなげるエコツーリズムだと信じ、活動しています。

image001

藤原 誉(ふじわら ほまる)

田歌舎代表 南丹市美山エコツーリズム推進協議会ガイド部会長。遊・食・住+自然エネルギー 自給的な暮らしが見えるお店「田歌舎」代表。1994年京都美山町へ移住。2002年「田歌舎」を創業。自給自足の宿泊・レストランの運営のほか、様々なアウトドアツアー、また狩猟・農業・林業などに関する独自の山村体験プログラムを提供する。

カテゴリー

最新の記事

地球のこどもとは

『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。

JEEFメールマガジン「身近メール」

JEEFに関するお知らせやイベント情報、
JEEF会員などからの環境教育に関する情報を
お届けします。

オフィシャルSNSアカウント

JEEFではFacebook、Twitterでも
情報発信を行っています。
ぜひフォローをお願い致します!