文:鴨川光(ジャパンGEMSセンター研究員)
【実施期間】4月23日(日)
【実施地】国立オリンピック記念青少年センター
【主催】JEEF
4月22〜23日に代々木公園で開催された「地球のことを考えて、行動するフェス」アースデイ東京。昼の熱気をそのままに行われた後夜祭は、その場にいた全員のこころに大きなプレゼントをくれました。
自分の人生を丁寧に生きるということは、目まぐるしい都会の生活の中でついつい忘れられているのかもしれない。自分が住んでいる地域を知ること、食べるものについて思いを巡らせること、自分のこころとからだの変化に耳を澄ませること。当たり前のように感じることがいつの間にか後回しになり、気づいた時には大きなひずみになっている。私たちは自分の人生よりも、何を優先して生きているのでしょう。
自分の暮らしに目を向ける
今年で3回目の開催となる後夜祭。その醍醐味はなんといっても多種多様なゲストと参加者の化学反応によって展開されるその場限りの対話、そして感じたことをすぐ書き留められるように、床中に敷き詰められた巨大な「廃紙」です。
印刷工場の輪転機で使う紙のロールは、それぞれのお客さんのニーズに合わせた一点もの。たとえほとんど使わなくても廃棄されてしまうのです。それはもったいないということで、印刷工場から大量に譲っていただいて、大きな落書き用紙として再利用しています。
しかもこの工房、ソーラーによる電力自給+雨水利用+下水の自作+薪暮らしというフルオフグリッド環境で運営されているというからすごい! 廃校をリノベーションする費用はクラウドファンディング、工事はボランティアでまかない、個人発でも多くの人を巻き込みながら地域活を性化していけるのだと力強く語ってくれました。
ミクロネシアにあるヤップ島という小さな島では、私たちの街にあるようなものは「何もない」けれど、暮らしを豊かにするものは「何でもある」とのこと。持続可能な社会の像を描くとき、私たちはこの世界の多様性とどう向き合い、尊重し合えるのでしょうか。
いきいき生きる!
前半のふりかえりを挟んで3人目で登場したのは、大手企業のエンジニアから40代で木こりに転職した「脱サラ木こり三木一弥さん(森と踊る株式会社)。
「不惑」といわれる40歳を過ぎてから、自分の生き方や社会とのかかわり方に疑問を持ち始めなした。ある日たまたま立ち会った間伐で、オフィスでは味わえなかったリアルな生(せい)を感じたそう。
知識も技術も、木を伐る道具すら持たないままに家族を説得して会社を辞めてしまったのです。そのような状況の中「シェア」という概念と出会います。何かを所有するのではなく、分け合う・助け合うことを前提にすると、一人で頑張りすぎなくてもいい。
そして三木さんは言います「多少無茶してもすぐ死ぬわけでもない。もっといきいき生きましょうよ!」。
三木さんのストレートな言葉は、進路や生き方に自信を持てないでいた参加者たちをぐっと勇気づけました。
世界には課題があふれています。誰一人取り残されることなく(No one will be left behind)、私たちがほしい未来を叶えるのは一人一人の小さな積み重ねに他なりません。誰かにつくってもらう未来ではなく、まずは自分がいきいき生きられる暮らしを自分で模索していきましょう。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。