文:佐藤秀樹(国際事業部チーフコンサルタント)
【事業名】バングラデシュ初等教育課程における生物多様性教材の導入へ向けた国民普及啓発活動
【実施期間】 2017年1月1日~2018年12月31日
【開催地】バングラデシュ
【資金提供】トヨタ自動車(株)トヨタ環境活動助成プログラム
【協働団体】バングラデシュ環境開発協会(BEDS)
スンダルバンスの生物多様性をテーマとして開発した教材(※1)が同国の公式な初等教育(※2)の補助教材として認可され、全国の公立小学校導入へ向けた取組みを、行政と市民の各レベルで進めています。今回は、2017年1月~12月までの1年間の活動内容を報告します。
※1:読本3冊、すごろく、カードゲーム、ミニチュア、DVD
※2:高学年: 3・4・5年生
行政レベルでの合意形成
バングラデシュの36郡、32県や8管区の教育省関係者により、教材導入へ向けた検討会を開催しました。
郡・県レベルの関係者からは開発した教材の質が高いと好評で、国の補助教材として導入するための同意を得ることができました。
各管区の副局長からは、スンダルバンスのマングローブ林が果たす役割が明確であること等、学習に対する工夫が施されている点が評価されました。また、「生物多様性保全委員会(※3)」を結成し、政府の補助教材として公式認可へ向けての基盤強化を図りました。
市民レベルでの生物多様性保全の普及啓発活動
82の対象小学校(※4)では、 開発した教材を授業、試験や保護者会等で定期的に活用しました。図・写真が多くスンダルバンスの生態系について学びやすいことや、すごろく、カードゲーム等は参加者が一体となって楽しみながら学習できる点が、高い評価を得ています。
また、各対象校では小学生による「生物多様性保全クラブ」を結成し、各地域での野鳥や湿地保全の普及啓発を実施しました。さらに、クラブ主催の「生物多様性保全絵画コンテスト」や、スンダルバンスへのスタディツアーを開催しました。
ツアーでは船からの自然観察、エコツーリズムセンターの訪問・自然散策や、地域住民との交流会の開催、5000本のマングローブ植林を行いました。ツアー終了後は参加した71校で、それぞれ報告会を開催しました。
今後も、行政、地域の各レベルにて、補助教材として認可されるよう、関係者と一つずつ合意形成および普及啓発活動を加速化させていきます。
※3:国会議員、教育省、環境林業省、クルナ大学、国際自然保護連合(IUCN)バングラデシュ事務所等のNGOを含める
※4:生徒21,102人、教員410人、保護者42,204人
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