文:木村 直也(アディダスジャパン株式会社)
アディダスの信念は「スポーツを通して人生を変えること」です。その中でサステナビリティは重要な施策として取り組んでいます。
弊社ではオフィスでのプラスチック製ボトルの使用を禁止しました。ドイツ本社を手始めに、現在世界 75カ所のオフィスで禁止にしており、日本オフィスでも使用していません。
我々は消費者に、活動をもっと伝える必要性を感じ、具体的な何かに焦点を当てようと考え、消費者の身近な存在である「海」のプラスチックごみを削減する活動に着目しました。
海はサンゴの白化や海洋ゴミの問題など、危機が分かりやすいからです。2050年までに海洋生物の多くが絶滅するという科学的発表もあります。
アディダスは海洋ゴミ削減の活動をするNGO「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ」(以降パーレイ)とパートナーシップ協定を結びました。
adidasのサスティナブルな企業としての評価
省資源やリサイクル素材への切り替えや、環境配慮製品の開発に長年取り組んできた結果、サステナブルな企業と認められるようになりました。
ESG(環境・社会・ガバナンス)の評価機関からも高い評価をいただき、2016 年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では「世界で最もサステナブルな企業 100 社(グローバル 100)」の 5 位に選ばれました。
海洋プラスチックを利用したシューズを開発
- 2015年
- パーレイとパートナーシップ協定
- 2016年
- 直営店でプラスチック袋を段階的に廃止。フランチャイズ店の多くも、紙袋に切り替え。
- パーレイが展開する、海洋ゴミの回収を支援。
- 11月には海から回収したプラスチック廃棄物を粉砕してペレットにし、糸を作り、それを生地にしたユニフォーム(※1)や、その糸で編んだ生地を使用したシューズ「ウルトラブースト パーレイ」を発表。
- 2017年
- このウルトラブーストシリーズを世界で100万足販売。
- 2018年
- 500万足を販売予定。
※1サッカーチームのレアルマドリードや FCバイエルンミュンヘンのユニフォームなど
このシューズ1足につき、およそ11本分のペットボトルが使われています。
海のために走る!Run For The Oceans
6月8日から7月8日にかけて、海のために走ることを目的とした「ラン・フォー・ジ・オーシャンズ」というランニングを通じた環境運動を実施しました。
この活動はアディダスが、ランニングアプリケーション(※2)を通じて、1kmごとの走行距離に対して1ドルをパーレイ オーシャン プラスチック プログラムに寄付するという活動です(上限100万ドル)。
※2 RuntasticというGPS機能を利用した、ランニングアプリケーション
世界各地から100万人近くのランナーが「ラン・フォー・ジ・オーシャンズ2018」に参加し、 1240万キロ以上(地球を300周できる走行距離数)を記録しました。
活動を通じて調達された資金は、途上国の何千人もの子どもの教育を支援しています。そこでは、重要な生態系である海を保護するために必要なスキル、ツールや知識を培っていきます。
プラスチックの使用を減らすために私たちができること
私たちの普段の生活で、プラスチック製品を回避するための簡単な方法があります。例えば、
- 繰り返し使える布製のエコバッグを持つ
- 繰り返し使える水筒やボトルに変える
- ストローの使用を控える
- 自分のゴミを意識する
- 個別包装されたお菓子は避ける
- マイクロビーズを使った美容ケア製品の使用を避ける
このように、いつもやっていることを少し変えることから始めてみてください。協力しあえば、悪循環を断ち切ることができます。
アディダスでは、海洋環境の保護に対する取組みを継続し「スポーツを通して人生を変えること」に取り組んでいきます。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。