文・インタビュアー:中地愛(事業部コーディネーター)
今回のインタビューは
コンパニオンアニマルクラブ
代表
金子理絵さん
JEEFの職員としてSDGsを意識しながら暮らしていると、いろいろなものが見えてきます。私が以前から関心があった殺処分から動物を保護する現場を、JEEF職員として改めて訪れました。
「コンパニオンアニマルクラブ市川」を主宰する金子理絵さんは、千葉県市川市で主に鳥猟犬(銃で狩りをするとき猟師たちと一緒に働く訓練された犬)を中心に保護活動をされています。
これまで保護センターに収容された鳥猟犬は、家庭犬として引き取ってもらえるための再トレーニングの機会を与えられず、すべてセンター内で殺処分される運命でした。
前例のない挑戦「鳥猟犬」を「家庭犬」に
保護センターから保護ボランティアが引き取っていくのは、小・中型犬、若い犬、人懐っこい犬ばかり。絶え間なく収容される鳥猟犬を見た時に、誰も引き取らない犬種を保護してこそ殺処分数が減らせる、と感じた金子さん。センターの職員を熱心に説得しました。
「鳥猟犬は穏やかで明るい犬種で、危険な犬ではありません。家庭犬として暮らせる事を証明します。必ず成功例を作るので私に任せてください!」と。
トレーナー、訓練士と連携しながら訓練の日々が始まりました。問題が起きた時は、その問題に特化するプロから学ぶこと。自分達の考えだけで進めないこと。そして一緒に活動をするボランティアへの教育。これらのことを大切にしながら活動を進めていきました。
日々の訓練の積み重ねにより、「あの犬がこんな風に変わるとは」と、職員を驚かせたほど犬たちの表情が変わっていきました。
また、保護環境、シェルター内外での活動をすべてをウェブに公開。こうして金子さんは、一頭、一頭、鳥猟犬の専門のレスキューを成功させてきました。
人間と動物が幸せに暮らす社会に
- 安易な繁殖をさせない社会
- ボランティアの方を、目の前の命をほおっておかない人材に育てる
- 人生に活かせる経験ができるシェルターにする
30年も前から不妊去勢を呼び掛けて、不幸な命を減らそうと活動されている金子さんの目標です。
委ねられた命を大切にする、優しい心が育つ環境。人も動物も幸せに暮らしていける、そんな社会をつくる責任は、私たちにあるのではないでしょうか。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。