文・インタビュアー:山口泰昌(事業部海外事業グループ コーディネーター)
今回のインタビューは
認定NPO法人 地球市民の会 代表
岩永 清邦さん
私の出身地である佐賀県。有明海、虹ノ松原、武雄の大楠など自然が豊かで、佐賀牛、呼子のイカ、佐賀海苔などご飯もおいしい自慢の故郷です。そんな魅力ある佐賀も、日本全国の地方が抱える問題に直面しています。
その解決のため活動している佐賀市の「地球市民の会」事務局長、岩永さんにお話を伺いました。
足元を見つめる
まず、この会が地域の課題解決に乗り出したきっかけについて伺いました。
「平成の大合併の影響で地域が拡大し、旧佐賀市にはなかった少子高齢化や過疎化、耕作地放棄の問題が出てきました。そんな時、会の設立から25周年を迎え、それまでは海外支援を中心に行っていましたが、足元も見ていこうとなりました。」
そこで岩永さんたちは、交流人口を増やし、かつ耕作放棄地を再利用するため、山間地に位置する富士町で木綿の種を植える活動を始めました。
木綿で町と町をつなぐ
種は、合併して佐賀市となった川副町から仕入れています。海沿いにあるこの町では、以前から、土壌の塩分を抜き取る力を持つ木綿を利用して農業を行っていました。塩抜きに使っていた木綿も収穫・販売し、生計を立てている方が大勢いました。しかし時代の流れとともに、木綿農家が減少していったのです。
「でも、ずっとやってきた方は先祖から残されてきた種を残したいんですよね。それで、『耕作放棄地で困っている富士町に植えませんか?』と川副町の方に提案しました」
川副町の方は提案を承諾。岩永さんは思いました。「山と海がつながった!」と。
しかし今後の課題について、彼は次のように語ります。
「活動はすでに9年続いていますが、未だに人口減少や耕作地放棄の問題は残ります。いかに根治させるか、経済ラインに乗せて循環させるのかが今後の課題です。」
地域課題を他人事にしない
会が目指すのは、様々な課題に対して外部の人が「思える」社会。岩永さんは次のように思いを語ってくれました。
「同じ佐賀市でも川副町の人が富士町のことを知らんぷりせず、災害にしろなんにしろ困っているなら手伝おうぜとか、そういった関係づくりにつなげていけたらなって。」
岩永さんとお話しして、私が地元のためにできることを考えてみたくなりました。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。