文:高野 孝子((特活)エコプラス) 写真:かずら橋と川
福井県池田町の教育改革です。
福井県池田町は岐阜県境に位置する、人口2600人余り、高齢化率43%の山村です。谷間の川沿いに町が発達し、面積の9割以上が森林だそうです。すくっとした杉林と田んぼが印象的な、静かで美しい場所です。農山村の特徴とも言える自助努力の精神が町づくりに活かされている自治体です。
「住民自治」でゴミ排出量は県内最小
例えば池田町は一人当たりの排出ゴミが、福井県で最も少ないそうです。その結果につながる一つの取り組みが「生ゴミ分別収集」。水に強くかつ分解する生ゴミ専用紙袋を開発し、それを牛フンと合わせた堆肥を町で作り、「土魂壌(ドコンジョウ)」と名づけて販売しています。
その回収はなんと、住民たちが交代で行っています。このように、住民たちが何役もしながら社会運営に関わっているのです。
「住民自治」は理屈では当たり前ですが、議員や行政に任せっきりにせず、自ら汗をかくなんてありそうでなかなかありません。
そんな池田町が昨年度から、教育改革に乗り出しました。まずは住民代表が参画する「池田町総合教育会議」にて教育大綱を改定。今年度から、町ぐるみで「学びのコミュニティ」を目指すそうです。私もそれにほんの少し関わらせてもらうことになりました。
町ぐるみの教育改革 「遊び」に注目
社会の変容につれて変わっていく「遊び」に注目。中学生が、二世代上の60〜70代でテレビやゲーム以前の子ども時代を送った人たちにインタビューをして、当時の遊びを調べます。そこに、私のゼミ生たちが記録のサポートとして加わるという計画です。
数十年前の暮らしから思うこともあるでしょうし、自分たちが連なっている時間や文化に気づいて、場との絆や自分を大切に思う気持ちが育まれるといいなと考えています。また、外部から大学生が関わることで、気づきは客観視され、見えてくることはさらに増えるはずです。
大学生たちも張り切っていますし、彼らにも価値ある学びのプロジェクトになるでしょう。
他にも多角的な教育改革が進んでいます。中長期的に捉えて、これらが何にどう現れてくるのか、ますます注目したいと思います。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。