機関誌「地球のこども」 Child of the earth

オーガニックコットンブランド 『プリスティン』の考える 持続可能なお洗濯 2019.10.11

プリステンブランドイメージ

文:奥森 秀子(株式会社アバンティ

海洋汚染と衣類

むかし話、桃太郎に登場するお婆さんは川へ洗濯に行っていました。現代の暮らしの中で川へ洗濯に行っている人はおそらくいないでしょう。
忙しさが増す私たちの暮らしにおいて洗濯機の進化が止まりません。スイッチ一つで洗いから脱水、その上、乾燥までしてくれますが、洗濯した後の排水がどこに流れていっているかを考えながらお洗濯をしていますか? 実は、桃太郎のお婆さんが洗濯をしに行った川に今でも流れて行っているのです。

毎日の洗濯で衣類から抜け落ちる短繊維が、海洋汚染の原因の一つになっているのです。ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの化学繊維はもちろんのこと、コットンなどの天然繊維からつくられている繊維製品を洗うたびにマイクロファイバー(5ミリ以下)が抜け落ち排水されてしまいます。

この極小のマイクロファイバーは、汚水処理場で濾過しきれずに通り抜けてしまうものがあります。この抜け落ちたマイクロファイバーは、川へ、そして海に流れて行きます。

特に石油から出来た繊維は生分解性が低く、ポリエステルはほぼ分解せずに残ってしまいます。そのマイクロファイバーが海中に漂い続けるのです。(コットンUSAのレポートから)
その流出したマイクロファイバーの生分解性が環境問題へとつながっています。

リアルフリース
現在のフリースはポリエステルでできた生地をさしますが、もともとフリースは、羊(一頭分の刈り取られつながった毛)のことをさす言葉でした。わたしたちは原点に立ち返り、表に生分解性のある羊の毛(ウール)、肌にあたる内側をオーガニックコットンを使用した新たな素材を開発しました。

汚れのない綺麗な地球を未来の子ども達に残したい

プリスティン』はブランドが生まれたときから、「丈夫であること、着まわしがきくこと、家で洗濯が出来ること」をものづくりの理念に開発してきました。

コットン製品もマイクロファイバーが抜け落ちますが、生分解性が高いので土に還りやすい素材です。

さらに我々のオーガニックコットン製品は、薬剤を極力使用せず化学染料による染色をしていないので、海へのダメージもより少ないのです。

100%天然成分の洗剤を開発

海を汚さない為の持続可能な洗濯には、洗剤を抜きにしては考えられません。そこで、私たちは持続可能なお洗濯のための『竹の洗濯水』を開発しました。原材料は熊本産の竹炭と竹炭灰、ミネラル水のみ、100%天然成分でつくられています。

竹は素晴らしい環境資源です。古くから日本の里山に生息する竹林ですが過疎化や高齢化が進み放置されている現在、その竹林が生態系を壊す原因となっています。熊本もその例外ではありませんでした。その竹を資源として活用し、河川や海の浄化、森林の保護につなげています。

界面活性剤(乳化剤)が一切入っていませんので20分間のつけ置きが必要なのですがそれは地球のため、未来を想うやさしい時間にかわります。

竹の洗濯水
オーガニックコットンはもちろんのことウールやヤク、カシミヤなどの動物性繊維や麻などの天然繊維も洗える洗浄剤です。合成界面活性剤不使用で、天然の竹から抽出したミネラル水を使用しているので、優しい洗浄力で繊維を痛めず洗うことができます。文化と歴史が色濃く残ります。

竹の伐採
竹のミネラルを抽出するためには、竹を炭にすることからはじまります。まずは竹の伐採から。「竹を切ってほしい」というお声がかかるとそちらに赴き、竹を伐採します。

竹の炭化作業
窯に火を入れて3日、炭火させていきます。この間は2時間ごとに温度をはかり、窯の様子を見なければなりません。

 

 

「WHAT WE CAN DO FOR THE FUTURE」

あなたの一枚は世界と、そして私たちの棲む地球と繋がっています。手にした瞬間は何も変わりませんが、その一枚ができるまでの背景と地球に与える影響を知り、その想いを馳せて選択することが、ゆっくりとではありますが確実に未来を明るく変えると信じています。

奥森 秀子(おくもり ひでこ)

ファッションデザイナ-、百貨店研究所を経て株式会社アバンティ代表。オ-ガニックコットンの原綿を輸入し糸、生地、製品までを一貫して『メイド イン ジャパン』にこだわった企画製造販売を行っている。持続可能なライフスタイルを追求するブランドPRISTINE(プリスティン)のブランドディレクタ-。女性の幸せをオーガニックコットンを通して広める活動をしている。 アバンティウェブサイト

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