文:高木 幹夫(株式会社日能研)
地域循環型の脱炭素なサスティナブルビレッジをつくることです。
現在宮城県鳴子温泉のそばで仲間とともに、災害時対応型、地域循環型の脱炭素なサスティナブルビレッジ作りに取り組んでいます。
エネルギーの自立
自立型とは独自の水道、独自の電力、独自の熱源を持っていることです。この3つは公共インフラと密接に繋がっていて、法制度の壁で阻まれています。
特に電気に関しては平常時のFIT(固定価格買い取り制度)高圧接続の申請がなかなか下りず、苦戦中。緊急時のビレッジ内送電網の許可も同様です。「水」については非常用井戸が準備できれば、災害時緊急時まで水道法は追いかけてこないようですが。
難問である電力については、熱と共に解決しようとしているところです。サスティナブルビレッジは小さいため、タービン式のような大きな装置を入れることができません。そこで、木質バイオマスウッドチップによるCHP(熱電供給装置)を設置。今回はウッドチップをガス化して、そのガスでエンジンを動かし発電をし、生まれる熱でお湯を作る、という選択をしました。
日本の杉を使い山を綺麗に
ここで使う燃料は日本の杉の木。手がつけられずにいる山の杉の木を間伐し山を綺麗にすると同時に、燃料としての役割を持たせ地域循環する、という一石二鳥を考えました。
ところが始めてみると、ガス化CHPは外国製。日本の杉の木をガス化するノウハウは蓄積されておらず、またしても苦戦。それでも一つ一つ実証実験を重ね、ようやく導入運用のめどが立ってきました。
取り組みのさなか「日本の杉では無理だ」という冷ややかな声も多い一方で、「実現すれば手つかずになっている杉の植林を綺麗にできる」という期待と励ましの言葉も沢山ありました。
このシステムが完成すれば、山の傍でウッドチップを生産、燃料として発電ができ、お湯も手に入ります。過疎になっていく地域に新しい循環型の経済を導入することにもなるでしょう。何としても実現したい。もう一歩です。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。