文:福寿 満希(株式会社LORANS.)
来る人も、働く人も。幸せを生み出すフラワーショップ
東京はJR山手線、原宿駅から少し歩くと現れる、緑に囲まれた中にLORANS.(ローランズ)原宿ショップはあります。花や緑のショップの中に、スムージーやカレー、食べられるお花をベースにしたフルーツサンドなどを提供するカフェが併設され、日々たくさんの方がお花のご注文やランチからティータイムのお食事に訪れて下さいます。
当店、ちょっと変わったところがあります。中で働く従業員のおよそ75%は難病や障がいを抱えるスタッフなのです。私たちローランズでは”ビジネス×社会課題“の中でも”花や緑×雇用格差“に軸を置き「Social Flower Shop」として障がいや難病と向き合うスタッフへ、最低賃金以上を設定した雇用を積極的に行っています。
フラワーギフトの全国発送やカフェ運営の他に、ウェディング会場の装花やオフィスグリーンのリースや外植栽のメンテナンス、最近では花のようにカラフルなドライフルーツのプチギフト製造なども行っています。
花の再資源化プロジェクト
花や緑を通じた雇用創出とともに、開店当初から取り組んでいるのは廃棄物の問題です。
花の業務を行う中でいつも違和感を覚えていたのが、不要と判断した花茎部分を”ゴミ“として捨てている自分と、それが当たり前とされている現場の様子でした。
元々は茎も含めて1つの植物である花を、人が必要に合わせて切り、切り落とした瞬間から“ゴミ”と判断しているだけなのではないか、と。なかには、売場に出る前段階でやむを得ず捨てなくてはならない花もあります。
私自身、弱った時に花に力をもらった経験があり、何かやれることはないかと考えるようになりました。そんな想いから調査を始め、茎には繊維が存在し、そこから紙を作る事が出来るという可能性と事実にたどり着き、『廃棄花』を『資源花』として再利用し、新しい価値を作り還元させていくためのプロジェクトを開始しました。
「花=資源」という新しい概念の元、花・人・環境が繋がって出来る“Flower Ring”を創り、素晴らしい輪が広がっていくよう発信をしています。
カーネーションの再生紙
Flower Ring -花の再資源化プロジェクトの第一弾企画では、そんな母の日のために咲いたカーネーションの再資源化を考えました。母の日は年間で最も花が動くと言われています。しかしその裏で、残念ながら物流の段階でやむを得ず出荷とならず廃棄となってしまう花・茎も実はたくさん存在しています。
そんなカーネーションをお預かりして作成した「カーネーションの再生紙」。紙へ生まれ変わったカーネーションを、名刺やはがき、スケッチブックとして皆様のお手元にお届けしています。
弊社の名刺は全てこの再生紙で作られています。その1枚1枚に花の命が宿り、環境保全の輪が広がります。
デニムを使ってエシカル花束
2019年は無印良品様とのコラボで再生をテーマにワークショップを実施しました。ご自宅にある履かなくなったデニムを持ち寄ったエシカル花束(※)作りです。当日はたくさんの方にワークショップを通じて資源の循環を感じていただくことができました。
※エシカル花束
地球環境に配慮して作られたお花で作られた花束。
ウィズダイバーシティプロジェクト
現在、ローランズではさらに新しい取り組みに挑戦しています。
自社だけではなく中小企業の障がい者雇用が促進されるよう、ウィズダイバーシティプロジェクトを立ち上げ、国家戦略特区と連携し中小企業がチームとなって障がい者の共同雇用を行う新しい雇用創出事例に取り組んでいます。
チームの中でフラワー事業はもちろん、ローランズの強みである障がい者雇用の体制やノウハウを活かして事業を広げていくことで、雇用を拡大していくことができます。東京からスタートしたこのプロジェクトを全国へ繋ぎ、誰もが花咲ける社会を創りだすことが私たちの夢です。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。