文:川瀬 雅子
皆さんが最近「学んだこと」は何ですか? どのようにして学びましたか? 人生100年時代、大人になっても学ぶ機会は案外多く、またその方法は多様です。今回はそのうちの「体験型の学び」に焦点をあてます。
定番の内容であっても必ず再構造化しよう
体験的な場づくりを考える際に、実施者側が何を伝えるかだけではなく、参加者に何をどう持って帰ってもらうのかを思い描き、そのために何をどのように配置するかは重要です。
上記の著書で取り上げたFTT研修(全4日間の集合研修)の場合は、研修を設計する際、すべての研修項目を紙に書き出して配置を考えました。定番化しているものも含めて研修企画メンバーでゼロから再構造化することで、研修設計側の意思統一ができました。
「昔からやってるから今回もやる。」ではなく、あたりまえを疑い、企画メンバーで、共に議論できるようなオープンな関係も大切です。
体験のあとの講義はタイミングが命
次に考えるのは、「講義パート」と「体験から学ぶパート」をどう配置するかです。
体験的な場では、まず体験があり、そこで参加者が様々なことを実感したばかりだからこそ、講義内容がしみ込みやすい! というタイミングがあります。企画側はそこを逃さないということに最も気を使います。(そのためには事前に参加者の顔を想像し、どんな反応が起こりそうかを想像することが大切です。)
実施にあたっては、体験の前の情報提供は必要最低限に抑え、体験の中のどこで講義を行うか、参加者の様子を観て考えます。そして、ここだというタイミングで行う講義では、体験の中で起きていたことを関連づけながら伝えます。
うまく作用すると、参加者それぞれが自分の体験と結びつけながら、生き生きとした状態のまま内容をインプットすることができます。また、実施者側にとっての”ここまでは押さえておきたい“というラインに自然な流れでたどりつくことができます。
しかし、当日は予想通りになるとは限りません。参加者の様子を見て内容やタイミングを変更することも多々あります。川嶋さんの口癖である「充分な準備、柔軟な対応」を実践し、参加者も企画者側もお互いに良い研修時間にしていきたいものですね。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。