機関誌「地球のこども」 Child of the earth

アジアの開発途上地域で国際環境教育活動を目指す人のために 1 2015.08.01

これから6回に渡り、アジアの開発途上地域における国際環境教育活動の現状、課題や展望等について紹介します。国際環境教育活動にご関心のある人やこれから取り組みを考えている人は必読です。ぜひ、ご期待ください。

さて、第1回目は、JEEFが、現在、アジアの開発途上地域で取組んでいる主な国際環境教育活動の目標やその内容、また、活動を行う上で大切にしていることについて紹介していきます。

JEEFの国際環境教育活動の取組み紹介(全体概要)

JEEFでは、アジアを中心とした国際環境協力活動を展開し、将来的には、アジア諸国で育った環境人材が、持続可能な環境保全活動を行うことを目標として取組んでいます。

2002年から、JEEFインドネシア事務所では日本人職員が駐在しており、同国を中心とした国際環境教育活動を行ってきました。具体的には、植林活動や森を守ることの大切さを学ぶ環境教育プログラムの実施、国立公園における土地利用状況・自然資源分布のマッピング、地域住民によるヤシ砂糖生産を通した地域住民の収入向上や環境リーダー育成等、自然環境保全と住民の生活改善を目的とした活動を実施してきました。

現在、JEEFでは、インドネシアでの活動に加え、ブータン、バングラデシュ、タイ、カンボジア、ベトナム等のアジア諸国にも活動の場を広げ、現地のパートナー団体と一緒に進めています。ブータンでは、2011年からエコツーリズムの開発事業を実施し、ローカルガイド育成やホームステイ受入先の研修実施、お土産開発等を行っています。また、バングラデシュ、タイ、カンボジアでは、小・中学生向けの生物多様性保全の教材開発や教員研修等を行い、地域主体で生態系を守るための活動を実施しています。さらに、ベトナムのハイフォン市では、家庭ごみ削減のための取組みを進め、小学生を対象としたごみ処分場へのスタディツアーの実施、小学校での教材開発や地域での清掃活動を行っています。

国内での国際環境教育活動

開発途上国の環境問題解決のために、リーダーとして取り組んでもらうよう、本邦研修事業にも力を入れています。
開発途上国の環境保全活動に従事している関係者を対象に、日本が公害問題を克服してきた過程やごみ削減の取組み、環境保全活動での合意形成の仕方、野生動物と人との共生等、途上国で課題となっている問題の解決方法を学ぶ機会を提供しています。

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国際環境教育活動の取組みで大切にしている3つのこと

1 地域に根ざした活動

「地域」に密着した活動を展開し、住民や現地で一緒に活動を展開する協働団体の声やニーズを汲み取りながら、コミュニティで適用可能な環境保全事業のモデルケースを多く創出できるように心がけて活動しています。

例えば、インドネシアのグヌン・ハリムン・サラック国立公園における持続可能な観光開発を軸とした、住民参加型環境保全プロジェクトでは、公園管理事務所と地域住民との合意形成を図りながら、同地域に適用可能なエコツーリズムの開発を行っています。

2 行政、学校、NGO等の様々な関係者の巻込みと組織づくり

環境問題を解決していくためには、行政、学校やNGO等の様々な関係者が関わっています。活動を円滑に行い、そして、効果を高めるためには、関係者が当事者意識を持ち持続的に活動ができるような、横断的な組織作りを行うことが重要です。

例えば、バングラデシュの生物多様性教材開発では、現地の協働団体であるバングラデシュ環境開発協会のローカルNGOに加え、同国の初等教育局、環境局、森林局の政府機関やクルナ大学の教員・学生ボランティアによる有識者委員会を結成したことで、多様な視点が生まれ、スンダルバンス地域(世界自然遺産)に入る際の決まりごと(服装、持物等)および規則、適正な利用方法について学ぶすごろくゲーム等、画期的な教材開発につながりました。

3 体験型学習

机上での知識ばかりを教える傾向にある開発途上地域での学校教育に、体験型学習を盛り込んだ活動を行うことは、次世代を担う子どもたちの環境保全に対する気づきや、将来の行動に繋げるために、極めて意義のある学習方法です。例えば、ベトナムの家庭ごみ削減の取組みでは、小学校の子どもたちを対象に、ごみのポイ捨てによる悪影響やごみの減量が必要な理由等について、子どもが体験的に楽しく遊べる教材開発を行いました。

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『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
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