文:佐藤 秀樹(国際事業部チーフコンサルタント)
身近になるベトナム
日本における在留外国人数は2017年時点で256万人です。国別で見ると、中国28.5%、韓国17.6%に次いで、ベトナムが10.2%と第3位を占めています。福祉分野での技能実習生や日本語を学習する留学生の増加によって、私たちの身の回りでもベトナム人が身近な存在になってきているようです。
ベトナムの気候と農作物
ベトナムは南北に細長く、気候は北部の温帯性、中部の高原や南部の熱帯性と多様で、生産される農作物の種類も豊富に存在します。
主な農作物は、北部の紅河デルタと南部のメコンデルタで生産されるお米です。また、意外と知られていませんが、ベトナムはコショウとカシューナッツの生産量が世界第1位、コーヒーは世界第2位を誇り、これらは重要な換金作物となっています。
中国とフランスの影響?
ベトナム料理は、中国と植民地時代のフランスの影響を受けています。中華料理ほど脂っこくはないのですが味は似ており、多種類のタレにこだわる食事は、多様なソースを使用するフランスの食文化を想わせます。特に、魚を塩漬けして発酵させた「ヌクマム(魚醤)」やえびの発酵調味料( 「マムトム(匂いは塩辛に似ている)」は、ベトナムを代表するタレとして欠かせないものです。
南北に長い国土は、食文化の違いを生み出しています。例えば、北部(ハノイ)はヌクマムを多用して塩辛く、中部(フエ)はトウガラシを多く用いて辛い、南部(ホーチミン)は砂糖を使用する甘い味付けといった特徴を持っています。
ベトナム料理の定番と言えば、「フォー」です。麺はお米からできたものが多く、朝に屋台でフォーを食べ出勤する人を多くみかけます。フォーはハノイ発祥の食べ物です。
また、ライスペーパーに春雨、ひき肉、タマネギを包んで揚げた「はるまき」や、青豆、豚肉等を入れて湯がくお正月の定番料理「ちまき」もあります。コリアンダー、ミント、バジルなどの香菜類をお好みでたくさん入れて食べるのもベトナム式です。
今後、日本社会でも、ベトナム人の増加によりベトナム料理が身近に感じられるようになるかもしれません。
地球のこどもとは
『地球のこども』は日本環境教育フォーラム(JEEF)が会員の方向けに年6回発行している機関誌です。
私たち人間を含むあらゆる生命が「地球のこども」であるという想いから名づけました。本誌では、JEEFの活動報告を中心に、広く環境の分野で活躍される方のエッセイやインタビュー、自然学校、教育現場からのレポートや、海外の環境教育事情など、環境教育に関する幅広い情報を紹介しています。