風薫る5月となりました。清里もすっかり春、というよりも初夏の陽気となっています。今から10数年前、私が清里に来た頃はゴールデンウィークにやっと芽吹きが始まっていたのですが、ここ数年は4月中旬頃が芽吹きとなっています。今年はとくに春の訪れが早く、ゴールデンウィークには木々も地面も青々としていました。体感としては2週間以上早く季節が進んでいますが、皆さまのお住まいの地域はいかがでしょうか？
さて、森で日々活動している私や同僚たちは「森に入ると元気になる！」ことを感覚として持っているのですが、じつはこのことは医学的にも証明されています。この「森の医学的な効果」について、今回ご紹介していきます。
医学的な効果には、大きく分けると「生理的効果（身体への影響）」と「心理的効果（心への効果）の２つがあります。現在分かっていることとしては下記のものが挙げられます。
医学的効果の表
上記のように、様々な医学的効果が昨今の研究によって明らかにされています。
最新の研究によると、実際の森に行けなくても、デジタル技術を使って森林の風景や香り・音などを再現した「デジタル森林浴」でも生理的・心理的な改善効果があることが分かったそうです。体力面や身体面など様々な事情により、なかなか森に行くことが難しい方へのリフレッシュやリラックスのために、今後「デジタル森林浴」の活用が期待されています。
（Norimasa Takayama, Takeshi Morikawa, Kazuko Koga, Yoichi Miyazaki, Kenichi Harada, Keiko Fukumoto, and Yuji Tsujiki ／ “Exploring the Physiological and Psychological Effects of Digital Shinrin-Yoku and Its Characteristics as a Restorative Environment.”）
とても興味深いですし、何より森への間口を広げることができることはとても素晴らしいと感じています。
さいごに余談になりますが、先日、5月4日のみどりの日に「Go to Forest！～全国の森で一緒に歩こう！」というイベントが開催されました。全国各地で森に親しむイベントを同時開催するというもので、2021年から始まり今年で3回目の実施。キープ協会も当初から参加しています。森をもっと身近に感じる人が増え、そのことが森を守ることにつながればという想いで、森林浴など森で人が元気になるための活動をしている全国各地の仲間たちで開催しています。
こちら各地でのイベントの様子や森の情報も載っていますので、よろしければご覧ください。そしてお近くの森や気になる森がありましたら、是非ぜひ森へお出かけください！
小野 明子（おの あきこ）
（公財）キープ協会 環境教育事業部 所属。山梨県北杜市 清里を主なフィールドに自然体験を通した環境教育を行っている。主に「森と健康・癒し」をテーマにした「森deリトリート」事業を担当。植物好き。前職はお花屋さん。植物に恩返しができて人も笑顔にできる仕事がしたいとの思いから現在に至る。
